ここ最近、よく耳にするようになった「AIOps」。

「何となくAIを活用したIT運用だとイメージはしているが、よくわからない」
といった方は多いのではないでしょうか?

本記事ではAIOpsによって変わるIT運用の未来について、分かりやすく解説しております。

是非、ご覧ください。

目次

予測成長率21%、拡大し続けるAIops市場

IT運用の現場でも活用が進んでいるAI。

世界的に見ても、運用現場でのAI活用は更に進んでいくことが考えられます。

株式会社グローバルインフォメーションによる調査によると、
AIops(AIを活用したIT運用)の世界的な市場規模は、毎年21%ほど拡大し、2027年には195億ドルにも達すると予測されています。

日本円に換算すると、なんと「約2兆2千万円」です。

今後、IT運用の中心となるであろうAIops。これまでの運用と何が変わるのでしょうか。

人とAIの協働を実現する「AIOps」

AIopsとは、アメリカの調査会社であるガートナー社が提唱した概念です。

ガードナー社は『ガートナー社によるAIOpsプラットフォームマーケットガイド』で、AIOpsを以下のように述べています。

「ビッグデータと人工知能 (AI) または機械学習(ML)機能を組み合わせて、可用性やパフォーマンスの監視、イベントの相関付けと分析、IT サービスの管理と自動化といった IT 運用のさまざまなプロセスやタスクを改善または部分的に刷新するようなソフトウェアシステム」

https://www.splunk.com/ja_jp/form/market-guide-for-aiops-platforms.html

より簡単にAIOpsを説明すると、これまで人が中心となり運用していたITシステムを、AIと協働して運用することです。

日々、扱うデータ量が増え続ける一方で、経済産業省によると約70万人も不足すると言われるIT人材。

もはや人とAIが協働しなければ、安定したIT運用を実現することは不可能と言えるでしょう。

多くの時間が奪われる「IT運用の今」

運用現場で働かれている担当者は、常に時間に追われています。

その原因は理しなければならないシステムが増え続ける一方で、それを管理する人材が不足していることです。

運用管理における課題調査

出典:ITメディア『システム運用管理についてのアンケート調査リポート』

ITメディアが実施した『システム運用管理ついての読者調査』を見ると、

ITシステムの運用管理における課題で上位を占めるのが、
「人員不足が51.6%」「システムの増加が48%」です。

このことからも運用現場で働かれている担当者は人員不足の中、増え続けるシステムを管理しなければならない現状に頭を悩ませていることが想像できます。

AIOpsが実現する未来のIT運用

AIOpsが実現するのは、のび太を支えるドラえもんのように、人とAIが協働して行うIT運用です。

日々、増え続ける業務量に対し人手を増やすことで解決できない今、人とAIが協働することでしか現状を解決する手段はありません。

ではAIはIT運用において、どう人と協働していくのでしょうか。

①有益な示唆を導き出す「高度な分析」

AIOpsは、各システムから届く異なるデータを素早く収集し、分析します。

その分析によって、

・不要アラートを削減する
・今後起きる障害を予測する
・問題の根本的原因を正確に迅速に特定する

といった対応ができるようになります。

例えば、米国の地方銀行「KeyBank」ではIT運用にAIOpsを取り入れることで、98%のアラート削減に成功。

その仕組みを簡単に説明します。

普段システムから発報されるアラート情報をデータ収集、及び分析ツールに取り込みます。

次にAIOpsツールを用いアラート情報を分析することで、誤検知により発生するアラート情報の学習を進めます。

その学習結果を活用することで運用チームが受け取るアラート数を除外する、といった仕組みです。

この仕組みを運用しているKeyBankのミック・ミラー氏は以下のように話しています。

業務のスピードが上がっている。インシデント数が劇的に減少すると同時に、インシデントの解決にかかる時間も大幅に短縮した

https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2105/21/news09.html

このことからもAIOpsの導入は、大きな成果をもたらしていることが分かります。

②作業の自動化

これまでは発生したインシデントを分析し、解決するために複数のデータを手動でまとめる必要がありました。

AIOpsでは、インシデントに対してデータを相関付けられるため、手動でまとめる必要がありません。

また相関付けたデータを基に、AIによる作業の自動化を実現しています。

KDDIが実現する「AIOps」では、障害が発生してもAIによる自動復旧により迅速に対応する、といった仕組みが構築されています。

AIによる自動復旧は、これまでの復旧作業を約3~17時間短縮できると言われており、大幅な運用の効率化を実現。

このようにAIOpsは運用現場の負担を軽減することができ、情報システム部門の可能性を広げていくことができるんです。

まとめ:IT運用の未来を担うAIOps

冒頭でも述べた通り、日本ではIT人材の不足が深刻化しています。

更に、システムの増加に伴い担当者1人当たりの負担も増え続けているのが現状です。

この状況を鑑みると、「人とAIが協働するIT運用の未来」は今後必ず訪れます。

この記事をきっかけに、IT運用の未来を担う「AIOps」に少しでも興味を持って頂けますと幸いです。

 

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