工場の生産ラインでは、産業ロボットが人の代わりに組み立てなどを行っています。最新のロボット工場では、生産から梱包まで自動化され、人手では不可能な数の製品が効率的に作られています。ホワイトカラーの分野でも、同じような動きが起き、デジタルレイバーとも呼ばれる「RPA」ロボットソフトウェアが、人の代わりに定型業務を効率的に行っています。労働力人口の減少が確定的な日本では、どれだけコア業務に力を投下し、生産力を上げるかが課題です。RPA活用コンサルティングの目線から、RPA導入に合致している企業に向けて提案していきます。
目次
RPA導入のコンセプトとデジタル労働力
RPAはメガバンク、保険業界など金融機関を中心に採用され、近年ではあらゆる分野での導入が進んでいます。1万人近くの仕事量の削減を目標にするなど、規模の大きな話が度々、報道されています。しかし、大企業だけでなくスタートアップ起業での成功事例も増えています。
RPA導入で、ルーティンワークの自動化を実現し、生産性の高い“コア業務”に力を入れることができます。例えば、データ入力などのルーティンワークは大企業でも、起業したての会社も同じです。ロボットソフトウェアのクラスによって実現できる自動化のレベルが違うにしても、限られた人材に価値の高い業務を与えるかが必要不可欠です。
バックオフィス業務に莫大な時間がかかり、残業が多く生産力の低い日本型の企業では、生き残りが難しいとの声はなくなりません。人材は無限ではありません。年々、労働力は減っていくのです。一度、大きくした規模を小さくしていくほど辛いことはありません。
「定型・集約・反復・横断」的な業務を自動化し、「生産性の向上・コスト削減・人材不足解消・BPOの削減」がRPAのコンセプトです。
従来、“人が業務で行うシステム”に投資をする考えでしたが、近年では、デジタル労働力をいかに効率的に配置し、“非コア業務を自動化”するかが求められています。
RPA導入向きの企業 こんな悩みにおすすめ
RPAの一般的に導入が進んでいる「クラス1」の場合、
・ルール化できる
・パソコンで完結する業務
・繰り返しの多い業務
・転記や照合などシステムやツールを横断する業務
・人への依存度が高い
が適応度が高い業務です。
さらに、上記の当てはまる業務でこんな“悩み”があれば、RPA導入に向いている企業だと考えられます。
・大多数がルーティンワークだが、例外処理もあり属人的な業務になってしまっている。「〇〇さんがいないと回らない」など
・データ入力などの定型・反復業務の人件費を削除したい
・ルーティンワークの教育コストやヒューマンエラーを削減したい
・定型業務のバックオフィスを自動化したい
・アウトソーシング(BPO)をなくし、社内で対応したい
・基幹システムを新しくしても経費を削減できなかった
などです。
RPA導入で変わる企業
RPAは新しく入社する事務職員のような存在です。ですが、人とは違い、病気もしません。休みも欲しがりませんし、権利も主張しません。もちろん、おしゃべりやサボりもしません。
24時間・365日ミスなく働き続ける人材です。人から人への2重チェックも必要なくなります。そして、RPAが変わりに膨大な仕事をこなしてくれることで、他の人材の労働時間を減らしてくれます。まさに、“働き方改革”が目指す方向に合致した存在なのです。
結果、ロボットソフトウェアを導入することで、圧倒的な生産性の向上に期待できます。
基幹システムや新規システム開発費に比べれば、導入費用・維持コストは安く抑えることができます。
では、部署別ではどんなことが変わってくるのか見ていきましょう。
■営業部門
・受注後の事務処理をフォルダに入れておくだけで、OCR(手書きや印刷物を文字コードに変換する技術)を行い一連の事務仕事を自動化
・交通費や経費などフォルダに入れておくだけで、自動で清算できる
■経理部門
・膨大なクレジットカードや入金の消し込み作業の自動化
・会計監査用資料の数値チェック
・請求書の計上を自動で取得し、会計システムに計上させる
■人事部門
・倦怠管理システムとの連携で長時間労働者をリスト化し、対象者に通知(コンプライアンスの向上)
・派遣労働者の更新など
■マーケティング部門
・競合商品の情報をネットで自動検索し、販売価格などを一覧化にする
・SNSなどに準備した原稿から自動投稿できる
・ネット上での口コミ、評価などを自動で収集する
■その他
・データ入力などルーティンワークの自動化
・定型メールの自動送信
・報告書の作成
などなど多岐に渡ります。
また、RPA(クラス3)とAI(人工知能)の連携がこのまま進めば、近い将来、意思決定が必要な業務も自動化できると言われています。複雑な判断を要する難しい業務も実現可能だと考えてよさそうです。そして、新しい技術との連携で企業競争力をさらに高めてくれるでしょう。