今回は、前回の記事で少し触れた「MIB(Management Information Base、管理情報ベース)」について掘り下げます。
SNMPは、大変簡素なプロトコルです。コマンドはたった5種類で、5種類のコマンドから実現する機能は3種類に止まっています。
ところが、管理情報ベースとSNMPを組み合わせて使用すると、SNMPは大変広範囲な情報取得が可能になります。
近年普及している一般家庭用低価格ルータの大半は、MIB-2をサポートしています。独自拡張機能から情報を取得・活用できるよう、プライベートMIBを用意しているベンダーも少なくありません。
情報管理ベースとSNMPは、より身近になってきていると言えます。
しかし、SNMPを使ってネットワークシステムを監視するだけでは、本当の意味でネットワークシステムを管理したことにはなりません。ネットワークシステムの管理にとって本当に重要なのはSNMPそのものではなく、SNMPによって取得(あるいは更新)できるデータをいかに管理に活用するかということにあります。
目次
管理情報ベースは「オブジェクトID」で管理されている
情報管理ベースに収められいている機器情報の単位は、「オブジェクト(Object)」と呼ばれ、個々の要素によって、ツリー構造で管理されます。
オブジェクトには、「2.16.840.1.113730.3.2.2」のような、ピリオドで区切られた数字で「オブジェクトID(OID)」という識別子が割り当てられています。
オブジェクトIDは、ツリー階層ごとに枝番を割り当てる形式で採番されます。
SNMPは、オブジェクトIDを指定して監視対象機器の情報取得や設定変更を要求したり、定期的にオブジェクトの値を確認、通知する方法でネットワーク監視します。
基本情報はMIB-2で判断
管理情報ベースと言っても、ベンダーや機種によってさまざまなサブツリーが定義されています。
IETFが発行している、RCF(リクエスト・フォー・コメントRequest For Comment)の定義している管理情報ベースのサブツリーは「標準MIB」、ベンダー等が独自拡張したMIBのサブツリーは「プライベートMIB」と呼ばれています。
標準MIBの中でも、特に「IPネットワーク接続端末が管理するべき情報」として、
「RFC 1213」で定義されている管理情報ベースのサブツリーを「MIB-2」と言います。MIB-2に割り当てられるオブジェクトIDは「1.3.6.1.2.1」で、MIB-2は、ネットワークシステム管理の大部分をサポートします。
ただし、監視対象機器をサポートしている特殊な機能などを利用する場合、監視対象機器のプライベートMIBのサブツリーを確認しなければなりません。