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SNMPは、動作自体は非常にシンプルです。ただ、アクセス対象であるMIB(管理情報ベース)はSNMPと違ってなかなか複雑です。
今回は、前回に引き続き、このMIBがどのような構造で、また、標準MIBの基本と言えるMIB-2の「ICMP」グループ以降のオブジェクトを紹介します。

RFC1213で定義されている、MIB-2の監視対象オブジェクトのグループ

1 System
2 Interface
3 Address Translation
4 IP
5 ICMP
6 TCP
7 UDP
8 EGP
9 OIM
10 Transmission
11 SNMP

目次

ICMPグループ(1.3.6.1.2.1.5)

ICMP(Internet Control Message Protocol)グループは、ICMPの動作に関する設定が定義されています。

icmpInMsgs ICMPメッセージの受信総数
icmpInErrors エラーの発生したICMPメッセージの受信数
icmpInDestUnreachs Destination Unreachable(到達不能)の受信数
icmpInTimeExcds TimeExceeded(時間超過)の受信数
icmpInParmProbs Parameter Problem(パラメータ異常)の受信数
icmpInSrcQuenchs Source Quench(送信元の消失)ICMPメッセージの受信数
icmpInRedirects Redirectの受信数
icmpInEchos Echo Requestの受信数
icmpInEchosReps Echo Replyの受信数
icmpInTimestamps Timestamp Requestの受信数
icmpInTimestampsReps Timestamp Replyの受信数
icmpInAddMasks Address Mask Requestの受信数
icmpInAddMasksReps Address Mask Replyの受信数
icmpOutMsgs ICMPメッセージの送信総数
icmpOutErrors エラーの発生したICMPメッセージの送信数
icmpOutDestUnreachs Destination Unreachable(到達不能)の送信数
icmpOutTimeExcds TimeExceeded(時間超過)の送信数
icmpOutParmProbs Parameter Problem(パラメータ異常)の送信数
icmpOutSrcQuenchs Source Quench(送信元の消失)ICMPメッセージの送信数
icmpOutRedirects Redirectの送信数
icmpOutEchos Echo Requestの送信数
icmpOutEchosReps Echo Replyの送信数
icmpOutTimestamps Timestamp Requestの送信数
icmpOutTimestampsReps Timestamp Replyの送信数
icmpOutAddMasks Address Mask Requestの送信数
icmpOutAddMasksReps Address Mask Replyの送信数

TCPグループ(1.3.6.1.2.1.6)

TCP(Transmission Control Protocol)グループは、TCPの動作に関する設定が定義されています。

tcpRtoAlgorithm オクテット再送のアルゴリズム
tcpRtoMin 再送のタイムアウトとして許可される時間の最小値
tcpRtoMax 再送のタイムアウトとして許可される時間の最大値
tcpMaxConn 接続の最大数
tcpActivOpens 接続がCLOSEDからSYN-SENTに移行した回数
tcpPassiveOpens 接続がLISTENからSYN-REVDに移行した回数
tcpAttemptFails 接続の失敗回数
tcpEstabResets リセット回数
tcpCurrEstab 現在ESTABLISHDまたはCLOSE-WAITの接続数
tcpInSegs 受信セグメント総数
tcpOutSegs 送信セグメント総数
tcpRetransSegs 再送セグメント総数
tcpConnTable TCP接続に関するテーブル
tcpConnEntry TCP接続のリスト
tcpConnState 接続のステータス
tcpConnLocalAddress ローカルの
IPアドレス
tcpConnLocalPort ローカルの
ポート番号
tcpConnRemAddress リモートの
IPアドレス
tcpConnRemPort リモートの
ポート番号
tcpInErrs エラーになった受信セグメント数
tcpOutRsts RSTフラグを含んだ送信セグメント数

UDPグループ(1.3.6.1.2.1.7)

UDP(User Datagram Protocol)グループは、UDPの動作に関する設定が定義されています。

udpInDatagrams データグラムの受信総数
udpNoPorts 受信ポートに対応アプリケーションのなかった受信データグラム数
udpInErrors 上記以外の理由でエラーになった受信データグラム数
udpOutDatagrams データグラムの送信総数
udpTable UDPのエンドポイントに関するテーブル
udpEntry テーブルのリスト
udpLocalAddress ローカルのIPアドレス
udlLocalPort ローカルのポート番号

EGPグループ(1.3.6.1.2.1.8)

EGP(Exterior Gateway Protocol)グループは、EGPの動作に関する設定が定義されています。EGPはautonomousシステムの通信に使用されるプロトコルで、RFC904で定義されています。EGPを実装していないシステムは、このグループオブジェクトの実装は任意です。

OIMグループ(1.3.6.1.2.1.9)

OIMグループはCMOT(Common Management Information Protocol over TCP/IP)に関する設定が定義されるグループで、現在のMIB-2では使用されていません。

Transmissionグループ(1.3.6.1.2.1.10)

Transmissionグループは、データ転送に関する設定が定義されています。MIB-2を最初に定義したRFC1213ではTransmissionグループのオブジェクトが明確に定義されていません。その後RFC1700でデータ転送に関するオブジェクトのリストが定義されていました。

SNMPグループ(1.3.6.1.2.1.11)

SNMPグループには、SNMPの動作に関する設定が定義されています。

「private」サブツリー中の機器固有のオブジェクト

通常ベンダが機器固有の機能を管理するために補完しているMIBは、privateサブツリーのenterprisesグループ以下(図1参照)にあります。ほかの機器との差別化を図るため、積極的に新しい機能を搭載した機器がリリースされていますが、その多くはプライベートMIBによって独自の管理情報が取得できるようになっています。

これらの追加されたMIBの情報は、各ベンダの提供するMIBファイルを参照することで確認することができるでしょう。

本記事では、SNMPによってネットワークシステムを管理する仕組みと、それらの情報の管理構造である管理情報ベース(MIB)について解説してきましたが、SNMPというプロトコルの概要の説明に留まりました。
より本格的にSNMPの理解を深めるためには、RFC等、多くの資料に目を通すことをおすすめします。

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