DHCPサーバは、DNSサーバと同様に止まってしまうと大変な影響を及ぼすサービスの1つです。
今回はDHCPサーバについて基本的な説明と、利用状況の確認方法について説明します。
DHCPとは、Dynamic Host Configuration Protocolの略であり、ホスト(クライアント)のIPアドレスなどの設定を行うためのプロトコルです。
Windowsの場合、ネットワーク接続のインターネットプロトコル(TCP/IP)の設定が“IPアドレスを自動的に取得する”となっていた場合は、DHCPを利用しているということになります。
目次
DHCPサーバの存在を確認するには
Windowsの場合、スタートメニューから“ファイル名を指定して実行”を選択して、cmd.exeを実行します。
コマンドラインが表示されたら、「ipconfig /all」というコマンドを実行します。
「ipconfig」だけの時よりも、どのDHCPサーバからIPアドレスが配られているかといった、もう少し踏み込んだ情報を見ることができます。
C:\Documents and Settings\Administrator>ipconfig /all
実行結果が以下のように表示されます。
Windows IP Configuration
Host Name . . . . . . . . . . . . : 2a56981cc
Primary Dns Suffix . . . . . . . :
Node Type . . . . . . . . . . . . : Unknown
IP Routing Enabled. . . . . . . . : No
WINS Proxy Enabled. . . . . . . . : No
DNS Suffix Search List. . . . . . : localdomain
Ethernet adapter ローカル エリア接続:
Connection-specific DNS Suffix . : localdomain
Description . . . . . . . . . . . : VMware Accelerated AMD PCNet Adapter
Physical Address. . . . . . . . . : 00-0C-29-18-19-8D
Dhcp Enabled. . . . . . . . . . . : Yes
Autoconfiguration Enabled . . . . : Yes
IP Address. . . . . . . . . . . . : 172.16.225.129
Subnet Mask . . . . . . . . . . . : 255.255.255.0
Default Gateway . . . . . . . . . : 172.16.225.2
DHCP Server . . . . . . . . . . . : 172.16.225.254
DNS Servers . . . . . . . . . . . : 172.16.225.2
Lease Obtained. . . . . . . . . . : 2008年1月21日 10:04:41
Lease Expires . . . . . . . . . . : 2008年1月21日 10:34:41
/allを付けることで、DHCPサーバのIPアドレスを知ることができました。
ブラウザがタイムアウトしてしまったり、ネットワークプリンタで印刷ができない場合などは、この方法でチェックしてみてください。
DHCPサーバの種類
一般的に使われているDHCPサーバは以下のとおりです。
●Linux、UNIXのDHCPサーバ
オープンソースを利用している場合、OSとしては、Linux、FreeBSDやSolarisで動いていると思います。
Linuxの多くのディストリビューションでは、ISC DHCPDが標準で収録されていますので、こちらを利用していると思われます。
基本的には、エディタでdhcpd.confを編集して、払い出すIPアドレスのレンジやオプションを設定することになります。
●Windows ServerのDHCPサーバ
Windows Serverを利用している場合、Windows Serverには標準でDHCP機能があるため、DHCPサーバにWindows Serverをそのまま利用している場合も多いと思います。
●ブロードバンドルータ/アクセスポイントのDHCPサーバ
ブロードバンドルータやアクセスポイントを利用している場合、大体がブラウザベースのGUIを持っていますので、ブラウザから設定することができます。
このようにDHCPサーバの選択肢はいくつか存在します。
「DHCPサーバ用に用意する」というよりは、すでにあるものを活用している場合が多いと思いますが、DHCPサーバは、DNSサーバと同様に止まってしまうと大変な影響を及ぼすサービスの1つなのです。
DHCPサーバが止まるとどうなるか
さて、DHCPサーバが止まった場合、すぐにクライアントのIPが使えなくなるのでしょうか。
すでにIPアドレスを取得しているクライアントは、リース時間内は再起動をしなければ問題なく利用できます。
ですが、リース時間が経過したときに、再度IPアドレスを取得しようとしますので、そのときにサーバが止まっていると、IPアドレスを取得することができません。
DNSと違って、すべてのクライアントが頻繁にアクセスするわけではないので、止まった時間によっては、止まっていることに気付きにくい場合もあります。
例えば、月曜日の始業前にサーバが止まってしまった場合、月曜日の始業時に一斉にDHCPサーバへIPアドレスの要求が送られます。
その時間帯にDHCPサーバが止まってしまっていると、クライアントはIPをもらうことができず、ネットワークを利用することができなくなってしまいます。
特にネットワーク上のサーバ(Notes、ERP、グループウェアなど)への依存が高い企業ほど、DHCPサーバが停止した場合のインパクトが大きいのです。
復旧――単純に再起動でいいの?
Linuxの場合で、復旧の手順を考えてみましょう。
同じネットワーク上に別のサーバがある場合は、暫定的にそのサーバ上でDHCPの設定をすることで一時しのぎをすることができます。
もちろん、dhcpd.confのバックアップをしておく必要があります。
コンフィグファイルがないと、復旧作業が非常に困難かつ時間のかかるものとなるでしょう。
dhcpd.confがあった場合は、dhcpdをインストールしてdhcpd.confをコピーしサービスをスタートすることで、IPアドレスが払い出されるはずです。
ここではDHCPサーバの基本的な説明と、利用状況の確認方法について説明しました。ネットワークがつながらない場合に参考にしてみてください。