近年、IT人材不足が深刻化しています。経済産業省の報告によると、2030年にはIT人材が約79万人も不足すると言われており事態は深刻です。

エンジニア文系・理系の構成比

エンジニアの文系・理系、構成比データ
出典:IPA 独立行政法人 情報処理機構

この状況を背景に文系出身のエンジニアが全体の30%にも増えており、更に文系出身の情シス担当者も増えています。

そんな文系の情シス担当者はIT知識が不足している中、プログラミングスクールに通う、もしくは本を読むことで、勉強されているのではないでしょうか。

本記事では日々、勉強されている文系の情シス担当者に向け、ITインフラ構築をテーマに「構築の流れ」や「構築の手段」をご紹介致します。

目次

社内のIT活用を支える「ITインフラ」

ITインフラとは、一言で言うと「社内システムを土台から支えてくれるもの」です。

日々、私達は電気や水道、道路といった「生活インフラ」に支えられています。私達の生活を土台から支えていることから、生活インフラと呼ばれているんです。

ITインフラも同様、社内外でのメール送信や顧客情報の管理など「企業におけるIT活用」を土台から支えていることからITインフラと呼ばれています。

現在トレンドとなっているDX化も1つの要因となり、社内システムを支えるITインフラの重要性は更に増していくことが考えられます。

ITインフラの構成要素を大きく分けると、「ハードウェア」「ソフトウェア」に分けられます。それぞれ説明していきます。

企業を支える5つのハードウェア

1.PC(Personal Comuputer)

普段、会社員の方が使用されるパソコンのことです。

社内システムと人を繋ぐハブとなっているツールで、デスクトップやノートPCなど複数の種類が存在します。

ノートPC

2.サーバ

サーバとは、人の要求に応じてサービスや機能を提供するコンピューターのことです。

提供するサービスや機能は、サーバに搭載するソフトウェアにより様々です。

サーバ

代表的なものでいうと、Webページを表示する「Webサーバ」やメールの送受信を管理する「Mailサーバ」などがあります。

3.ストレージ

データを保存することに特化した機器のことです。

サーバとは異なり、データの格納に特化していることから、より多くのデータを保存することができます。

ストレージ

近年、物理的な機器の他にも、オンライン上でデータを保存できるGoogle driveなどのサービスも存在します。

4.磁気テープ

データの避難場所として対応できる機器です。

災害や障害に備え、事前にバックアップデータを保管するために使用されており、主にデーセンターでの活用が多いです。

磁気テープ

実はこのテープ、Googleでも使用されており大活躍しているんです。当時2011年、Googleが提供するサービス「Gmail」で大規模な障害が発生しました。結果、多数のユーザーが抱えるメールデータが消失したんです。

その際、テープストレージにバックアップデータを保管していたことから、消失後、短時間で復旧し、消失データをゼロに抑えたそうです。

5.ネットワーク

PCやサーバ、ストレージなどを相互に接続するなど、通信を制御するための機器です。

ネットワーク機器

LANケーブルなどの有線タイプから、Wi-Fiなどの無線タイプまで存在します。

ハードウェアに組み込む2つのソフトウェア

1.OS(オペレーティングシステム)

OS(オペレーティングシステム)とはその名の通り、PCを操作するためのシステムです。代表的なOSとして、WindowsMacLinuxが挙げられます。

2.ミドルウェア

ミドルウェア解説画像

OSとアプリケーションを仲介し、補助する役割を担うのがミドルウェアです。

例えば、アプリケーションA,B,Cがあったとします。各アプリケーションでは「データを参照する」というプロセスが共通しています。

もしミドルウェアがない場合だと、アプリケーションごとにデータベースを参照できるように開発しなければなりません。

一方、ミドルウェアがあればアプリケーションごとに開発する必要はなく、ミドルウェアがデータベースを参照するプロセスを担ってくれます。

ITインフラの構築が終わるまで

ITインフラを構築する際、5つのステップで進めていくのが一般的です。
具体的に、ITインフラ構築における各フェーズを説明していきます。

1.計画

ITインフラの導入に向けて、大まかな方針を決める段階です。

現状の課題を把握し、どのように改善するべきなのかなど、導入の目的を明確にする必要があります。その後、自社内で構築するのか、或いは外部と連携し構築するのかの判断や、セキュリティ-ポリシーの制定を行います。

2.設計

導入する目的が達成されるように、ITインフラを構想する段階です。

サーバの数やスペック、用途、OSなどを定めていきます。それと同時にセキュリティ対策も設計段階で考慮する必要があります。

3.構築

設計した内容を元に、ITインフラを構築する段階です。

サーバやネットワーク機器を始めとするハードウェアの構築や、OSやミドルウェアなどをハードウェアに組み込んでいきます。

ITインフラの構築時は、あらゆるリスクを想定し、事前に対応できるシステムを築くことが重要です。障害対応を踏まえた設定や、災害や事故に備えたバックアップ体制の構築をしておくことで、安定した稼動を実現することができます。

4.テスト

計画書や仕様書を元に、システムが正常に作動しているか確認する段階です。

始めは個別の機器ごとにテストを行っていき、最終的には本番環境通りシステム全体のテストを実施します。テストで問題がなければ、実際の運用へ移行します。

5.運用

システムの運用を維持する段階です。

システム障害の発生は、企業に多大なる損失をもたらします。そのため常時、安定した稼動を実現しなければなりません。そこで、サーバやネットワーク機器などのITインフラを監視し、未然に障害を防ぐ、或いは障害が起きても迅速に対応できる体制を整える必要があります。

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ITインフラを構築する2つの方法

ITインフラを構築する方法は、2つあります。

自社内でインフラを構築する方法と、外部へアウトソーシングする方法です。

両者ともにメリット・デメリットが存在するため、各社の状況や目的に応じて手段を使い分けなければなりません。それぞれのメリット・デメリットをご紹介致します。

自社単体でのインフラ構築

自社単体でのインフラ構築は、セキュリティ面において安全性が担保されやすいです。

時間や方法など自社の状況に合わせて柔軟に対応できることや、アウトソーシングと比較すると情報が流出する恐れも非常に少ないのが大きな理由です。また、導入コストも安く抑えることが可能です。

一方、時間的なデメリットが大きい選択です。

ITインフラを自分達で構築する場合、既に人材が確保できていれば問題はないですが、少人数でやるとなると多くの時間を要します。かといって、IT人材が不足している状況を踏まえると、「高い専門性が求められるITインフラの構築業務」を問題なく行える人材の確保は、更に困難です。

外部へのアウトソーシング

アウトソーシングでは、質の高いIT人材によるサービスを受けることができます。

各社の状況に応じ最適なITインフラを構築してくれるため、安全性の高いシステムを構築できます。また、ITインフラ構築後のアフターサービスも継続し、受けることができます。

一方、デメリットとしてアウトソーシングには多大なコストがかかってしまうことや、社内のITインフラに関する仕組みがブラックボックス化してしまう恐れがあります。

両者共にメリット・デメリットが存在します。各社の状況に応じ、適切な選択をすることが非常に重要です。

以上、ITインフラをテーマに、構築までの流れ具体的な方法論を説明してきました。

今後、ITインフラ構築を行う上で直面する課題や、その課題に対する解決策をご紹介していきます。

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