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自社のシステムをクラウド上に構築することで、コンピュータや通信機器、ソフトウェアライセンスなどシステム基盤を自社で所有・運用する必要がなくなるクラウドサービス全盛時代です。クラウドサービスでは多額の初期投資をせずにすぐにかんたんにサービスを利用でき、保守メンテまでやってくれるとあって、あらゆるWebサービスでまずクラウドを検討してみる「クラウドファースト」が担当者の合言葉となっているほどです。
しかし、クラウドサービスの「保守・メンテ」の中身には注意が必要です。

目次

クラウドサービスで対応している「保守・メンテ」は万能ではない

クラウドサービスが保守・メンテをやってくれるという場合、そのサービス範囲がどこまでなのかについては注意が必要です。クラウドサービスで対応している「保守・メンテ」はあくまで自社サービスが正常に稼働しているかどうかのチェックと対応に限られています。

例えばECサービスをレンタルサーバでスタートした場合、ECのサービスの基盤であるWebサーバやデータベースサーバが稼働しているかなどは、システム側で常に監視をしており不具合があった場合にはすぐに対応してくれます。また、サーバ側にアタックをかけようとするウイルスや不正侵入なども監視の対象としているのが普通です。

しかし、ECサービスの「申し込みなどの問い合わせフォーム」が正常に機能しているかどうか、「商品購入ボタン」が正常に稼働しているか、などは監視の対象外です。また、見込み客を獲得するために必須ともいえる小冊子などの資料提供コーナーで、「PDFの正常ダウンロード」ができているかどうかなども、クラウドサービスでは監視対象とはしてくれません。

また、ユーザー自身で自由に商品レビューなどを投稿できる掲示板コーナーや、SNSコーナーにおいて、公序良俗に反するような嫌がらせの書き込みがあったり、ユーザー同士が相手を傷つけるような言葉の応酬をしているといったいわゆる「炎上していないか」も監視の対象外となります。

Webサーバやデータベースサーバが稼働しているかどうかはもちろん大切なことですが、よりお客様と近い場所でお客様とのやり取りに直接関わるような、「申し込みや問い合わせフォーム」や「商品購入ボタン」「PDFの正常ダウンロード」「炎上していないか」などの「サービス監視」は、クラウドサービスでは監視対象となっていないケースがほとんどですので、これらは自社で行う必要があるのです。

目視では限界のある「サービス監視」もクラウドに任せる!

このように、提供サービス会社自身の「インフラ監視」はやってくれても、ユーザーの評価に直結する「サービス監視」に対応していないクラウドサービスを使う場合には、自社での対策が必要です。とはいえ、定期的にテストでフォーム送信をしたり、PDFをダウンローしてみたり、目視で炎上していないかを確認するのには限界があります。

貴重な自社の社員リソースをそうした監視に割り当てることはできませんし、仮に担当者を置くにしても、24時間テストや監視をやっている訳にはいきません。

こうした場合に便利なのが、WEBサービスが正常に稼動しているのか、監視対象の画面遷移をあらかじめ設定することで、実際のユーザーオペレーションと同様の操作が可能か定期的に監視することができる「Webサービス自動監視システム」です。

こうしたサービスを使うことによって、クラウドサービスで監視対象となっている「インフラ監視」だけでなく、肝心のサービスが稼働しているかどうかを人的リソースに頼らずに自動的に監視することが可能になります。

「Webサービス自動監視システム」を導入すれば、深夜であっても何か異常があった場合には直ちにメールで知らせてくれますし、システムによっては必要に応じてそのメールを音声合成によって電話で通知することも可能ですので、迅速な対応が可能となります。

【まとめ】
クラウドファーストの時代にあっても、クラウドサービス提供会社があらゆるレベルでの保守・メンテナンスをやってくれるわけではないことがお分かりいただけたと思います。

システムの監視については、「インフラ監視」と「サービス監視」がありますが、クラウドサービスを利用する場合に「サービス監視」への視点が欠けてしまいがちなので、注意が必要です。

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