近年注目を浴びている「ハイブリッドクラウド」。
実際、「ハイブリッドクラウド」という言葉は聞いたことあっても、その実態についてご存じの方も少ないのではないでしょうか。
本記事では、テックスクエアを運営する株式会社コムスクエアでインターンをしている文系学生が「ハイブリッドクラウド」についてわかりやすく解説いたします。
「ハイブリッドクラウド」の基本の「き」を抑えたい方や、「き」をもう一度復習したい方はぜひ最後までお読みいただければと思います。
目次
ハイブリッドクラウド 10秒まとめ
- ハイブリッドクラウドとは、様々なクラウドを組み合わせたクラウド・インフラストラクチャー。
- ハイブリッドクラウドには、負荷やリスクの分散・高いコストパフォーマンスの発揮を可能にするメリットがある。
- ハイブリッドクラウドには、システム構成が複雑化し、運用が難しくなるというデメリットがある。
- ハイブリッドクラウドを運用する上では、運用管理の統一と運用SEの育成が必要不可欠。
ハイブリッドクラウドとは?
ハイブリッドクラウドとは、
①様々なクラウドを組み合わせ、
②アプリケーションやシステムを稼働させるための
クラウド・インフラストラクチャーを指しています。
以下で①と②について以下では詳しく見ていきます。
①ハイブリッドクラウドの構成要素
ハイブリッドクラウドは、次の3種類のクラウド基盤で構成されています。
・利用者専用環境である「プライベートクラウド」
・複数の異なる利用者と環境を共用する「パブリッククラウド」
・利用者自身が保有するIT資産である「オンプレミス」
これまでは今紹介した3種類の基盤のうちいずれかを用いたケースが多かったのですが、近年では、3種類の基盤を組み合わせて用いるケースも増えてきました。
②アプリケーションやシステムの稼働が企業にもたらすもの
ハイブリッドクラウドを通じてアプリやシステムを稼働させることで、企業には大きく2つの良い影響がもたらされます。
まずは業務の効率化です。ハイブリッドクラウドを利用することで、アプリケーションやシステムを稼働させるための管理・設定・調整の自動化や、それぞれのクラウド間でのアプリケーションの容易な移行を実現できます。
またビジネスやサービスのブラッシュアップにつながります。ハイブリッドクラウドを用いることで、複数のベンダーのクラウドサービスと機能を最適に組み合わせられます。
ここまでハイブリッドクラウドの特徴について見てきました。
ハイブリッドクラウドは、「ハイブリッドクラウド環境における情報管理の現状(ベリタス,2016)」によれば、2016年時点で74%もの企業で導入されており、普及が進みつつあります。
そんなハイブリッドクラウドには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?
ハイブリッドクラウドのメリット
「ハイブリッドクラウドを導入することで、どんなメリットを享受できるの?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
実はハイブリッドクラウドは、導入した企業に対して5つのメリットをもたらすのです。
ここではそれらのメリットを1つずつご紹介します。
①即応性
ハイブリッドクラウドを導入することで、時代や市場環境に迅速かつ柔軟に対応できるようになり、デジタルビジネスにおける自社の競争力を高めることが可能になります。
②クラウドの柔軟な組み合わせ
例えばプライベートクラウドのみを導入している企業は、容量の増加に柔軟な対応ができるパブリッククラウドと組み合わせることで、状況に応じた対応が可能となり、大量のデータ処理が安定的に可能になります。
③負荷・リスク分散が可能
ハイブリッドクラウドを導入することで、データを分散して物理的に異なる場所でデータを保存することが可能になり、サイバー攻撃や災害からの素早い復旧、システムの負荷分散に加え、システムの維持・運用にかかる人的コストの削減が可能になります。
④高いコストパフォーマンス
例えば機密情報や長期間使用するシステムはプライベートクラウドを、短期使用システムや機密性の高くない情報はパブリッククラウドを使えば、コストを抑え、高いコストパフォーマンスを発揮することが可能です。
⑤生産性の向上
ハイブリッドクラウドでは異なる環境を組み合わせ、それぞれの環境のメリットを活かすことができ、結果的にテレワーク等の柔軟な働き方の導入や生産性の向上も可能になります。
ハイブリッドクラウドのデメリット
「ハイブリッドクラウド導入のメリットはわかったけど、デメリットもあるんでしょう?」と思っておられる方も多いでしょう。
もちろん、本コラムではハイブリッドクラウドの導入におけるデメリットもお伝えさせていただきます。
ハイブリットクラウドのデメリットは大きく2つありますので、以下で詳しくご紹介します。
①システム構成の複雑化
各クラウドでトラブルや不具合が起きた際、パブリッククラウドの場合は基本的には事業者が、オンプレミス、プライベートクラウドの場合は自社で対応することになります。ただしパブリッククラウドの場合、社内に事象を正確に把握し事業者に伝えられる人が必要となるため、どのクラウドを使用しても各環境に精通した人材の確保も求められます。
またハイブリッドクラウドは、複数のクラウドサービスを組み合わせて利用するため、1つのクラウドを利用する場合に比べ、システム構成は複雑になり、管理項目も多くなります。こうした管理難易度の高さはハイブリッドクラウドのデメリットの一つと言えます。
②運用のむずかしさ
ハイブリッドクラウドには、システム構成が複雑な一方でコストコントロールが可能になるメリットがあります。ただしコストの試算をしっかりと行なわなければ、誤った運用方法になってよりコストがかかることもあります。ハイブリッドクラウドを導入する際には、これらのデメリットについて理解し進めることが重要です。
ハイブリッドクラウドの運用面の課題
ハイブリッドクラウドのメリットとデメリットについてこれまでお伝えしてきました。
以上を踏まえたうえで、自社でハイブリッドクラウドの導入を検討してみてもいいかもしれないと思っておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そうした方に向けて、本セクションでは、ハイブリッドクラウドを導入・運用する上で解決すべき課題についてお伝えいたします。
運用面における課題は大きく2つありますので、以下で詳しくご紹介します。
①複数基盤の運用管理の統一(ルール)
システム基盤の運用管理がバラバラの場合、監視ツールがクラウドごとに異なることに加えてツール独自の監視項目があるので、監視の粒度にバラつきが生まれ、管理工数もかかってしまいます。
しかし運用管理を統一することで、クラウド基盤を複数利用しても運用レベルが統一され、運用管理ツールの維持管理も容易になります。
②ハイブリッドクラウド環境を運用するSEの育成(育成)
これまでクラウドを運用するSEには、プライベートクラウド・パブリッククラウド・オンプレミスのいずれかに関する運用知識が求められていました。しかし、ハイブリッドクラウド時代のこれからにおいて、運用SEには、ハイブリッドクラウド環境の複数基盤を維持管理する幅広い知識や技術を習得することが求められます。
さいごに
「文系学生がハイブリッドクラウドについて分かりやすく解説してみた」と題し、株式会社コムスクエアのインターン生がハイブリッドクラウドについてご紹介してきました。
いかがだったでしょうか?
少しでも読者の皆様の「ハイブリッドクラウド」への理解にお役立ていただければ幸いです。
最後になりますが、テックスクエアを運営する株式会社コムスクエアでは、ハイブリッドクラウドに対応したシステム統合監視ツール「パトロールクラリス」を開発・販売しておりますので、もしご興味のある方はぜひご覧くださいませ。