今後5年間、 データセンタービジネスの市場規模は、IDC Japanの調査によると毎年200億円ずつ拡大し続ける見込みで非常に追い風が吹いている業界と言えます。一方で、前回の記事でも取り上げたようにデータセンターの競合関係は国内のデータセンターに限らず、より広範な海外のデータセンターや小売業にまで競争の範囲が広がっています。

競争が激化する中、データセンタービジネスにはサービスレベルの拡充を中心とする差別化戦略が求められています。

本記事では、どのようにサービスレベルを拡充していくのかについて、具体的な事例を踏まえた上でご説明いたします。

まだ前回の記事を読まれていない方は、是非、以下URLからご覧ください。

目次


データセンターが目指すべき理想の姿

データセンターが打っていくべき施策とは、一体、何なのでしょうか?

あたりまえのことを言うようですが、「トレンドを押さえた上での施策」を打っていくべきです。
なぜならばトレンドの背景には人々のニーズが隠れているためです。

では、データセンタービジネスにおけるトレンドとはいったい何なのでしょうか?
今回は今後、データセンターに追い風となるトレンドを2つご紹介いたします。

データセンターに追い風となるトレンド

データセンターにとって追い風となるトレンドは数多く存在します。複数あるトレンドの中で、特に重要となる2つのトレンドをご紹介していきます。

1.環境問題

環境問題への関心の有無   

出典URL:https://www.kurashihow.co.jp/wp-content/uploads/2019/09/201908_kankyo-1.pdf

近年、環境問題に対する人々の意識は高まってきております。上記グラフを見て頂くと、環境問題に関心のある方が「約88%」もいます。

また地球環境や社会貢献などに配慮したモノやサービスを積極的に消費するエシカル消費や、プラスチックごみを減らすことを目的としたコンビニやスーパーの袋の有料化など、意識だけでなく行動にも影響を及ぼしています。

行動の背景としてあるのが、近年、増加している大雨や熱波などの異常気象による人々への被害や、異常気象により起きる作物収穫への被害などが挙げられます。

人々の意識の高まりに伴い、企業は経済活動と環境問題への取り組みを、どのように折り合いをつけていくのかが求められるようになりました。もちろんデータセンターもその例外ではありません。

2.サイバー攻撃

1日当たり、1IPアドレスに対する探索行為
(脆弱なシステムを見つようとする行為)の件数

サイバー攻撃の件数
出典URL:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R02_kami_cyber_jousei.pdf

昨今、サイバー攻撃に関するニュースは後を絶えません。上記のグラフを見て頂くと、脆弱なシステムを見つけ出そうとする探索行為が、1日当たり、1IPアドレスに4192.0件来ており、5年連続で増加しています。このことから毎年、サイバー攻撃に関する件数は増加していることが分かります。

最近のニュースでは、アメリカのIT企業である「カセヤ」がサイバー攻撃による被害を受けています。同社はITシステム管理ソフトを提供している企業で、ハッカーがそのシステムに侵入し、サーバーを通じて顧客企業のデータを暗号化して身代金を要求する「ランサムウェア」を仕組んだようです。

なぜサイバー攻撃が流行しているのかを考えると、価値ある情報がデジタル化したことが背景としてあります。これまでアナログで管理していた「価値ある情報」がデジタル化されたことで、その情報を狙い金銭を稼ごうとするハッカーが増えたと考えられます。

トレンドを踏まえた企業の事例

データセンターは、「環境問題」「サイバー攻撃」という2つのトレンドに対して今後、どのように取り組んでいけばよいのでしょうか。

事例を踏まえながらご説明いたします。

1.環境に優しいデータセンター

まず1つ整理しておきたいのが、顧客がデータセンターに対し求める環境問題への取り組み方を理解しておく必要があります。データセンターの場合、顧客が一般消費者ではなく企業であるため、より一層深く考えなければなりません。

企業は環境問題への取り組みとして、CO₂排出量をどれほど減らせるかを一つの指標として活動しています。そのためデータセンターに求められることは、そのデータセンターを利用することでどれ程、CO₂排出量を削減することができるかという視点です。

データセンターがCO₂排出量を減らすに当たり重要な視点は、使っている電力の供給先です。データセンター自体はほとんどCO₂を排出することがありません。しかし電力の供給先に火力発電を利用している場合、多くのCO₂排出に関わっていると言えます。

そこでデータセンターがCO₂排出量削減に関して、取り組む方向性は「電力供給量を減らす」「供給先を自然エネルギーに代替する」の2つです。両者の取り組みを行っているGoogleのデータセンターをご紹介します。

Googleのデータセンターは、24時間365日自然エネルギーで運用されています。同社は2012年から、徐々に自然エネルギーに切り替え始め、現在Google Cloudで処理しているデータは全てCO₂排出量ゼロです。それに加え、AIによるデータセンターの効率化も進めており、運用の最適化も同時並行で進めています。

Googleの事例からも分かるように、消費電力量を減らすことは単なる対処療法でしかなく、根本的にデータセンターに求められているのはエネルギー供給先の代替です。その上で、データセンターを効率化し、運用の最適化を図っていく必要があります。

2.サイバー攻撃から情報を守る堅牢なデータセンター

価値ある情報がデジタル化して以降、多くの企業がサイバー攻撃による被害を受けています。
そんな中、企業がデータセンターに求めているサービスとは一体、何なのでしょうか?

それは「ハウジングサービスからホスティングサービス」への移行です。

企業のニーズは、地震や台風、洪水などによる被害を防ぐ場所を求めるだけでなく、デジタル化した情報を守ってくれるサービスを求めるようになっています。それに伴い単に場所を貸すハウジングサービスから、場所に加え運用・保守を支援するホスティングサービスを顧客は求めるようになっています。

それでは、ホスティングサービスを強化している企業のさくらインターネット株式会社をご紹介いたします。

同社では、高い操作性に加え、高いコストパフォーマンスを兼ね備えたサービスを展開しています。多様なニーズに応えるため多機能なサービスを展開しており、まさに現在求められているホスティングサービスの拡充を体現している事例と言えます。

さくらインターネット株式会社のサービスについて詳しくは知りたい方はこちら

巧妙化するサイバー攻撃が広がっていく中、企業がデータセンターに求めるニーズは運用・保守における支援です。そのため多種多様な要望に応えることができるさくらインターネット株式会社のように、幅広いサービスを展開していく必要があります。

今後目指すべきデータセンターの姿

データセンターに求められるニーズは、今後、多様化していくことが考えられます。

近年のように単に場所を貸したり、コストを削減することで利幅を伸ばすのではなく、トレンド(ユーザーのニーズ)を中心とした多種多様なサービスを展開していくことで利益を上げていかなくてはなりません。

具体的には、大きく2つの指針を元に進む必要があると考えます。

1.社会的問題に取り組むデータセンタービジネスへ

2.ハウジングサービスからホスティングサービスへ注力するデータセンターへ

社会的問題に取り組み、顧客のニーズを中心にサービスを展開していくことで、
顧客にとって唯一のデータセンターを目指していくべきです。

弊社コムスクエアが展開するパトロールクラリスでは、ホスティングサービスの充実に向けた一助になることができます。次回の記事で、弊社のパトロールクラリスがデータセンタービジネスにとって、どのように役に立つのかをご紹介いたします。

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