前回の記事では、弊社(コムスクエア)が他社製品を圧倒的に上回るコストパフォーマンスを実現したLED監視の特徴や、実現に至った大まかな過程についてご紹介致しました。

詳しく知りたい方は、以下のURLからご覧ください。

本記事では前回に続き、弊社が約5年かけて作り上げたLED監視ソリューションの軌跡をご紹介していきます。

目次


一度は挫折したLED監視

弊社では、5年前の2016年からLED監視の自動化プロジェクトに取り組んでいました。

実はこの5年間は順調にプロジェクトが進んでいたわけではなく、実に波乱に満ちていました。というのも、一度プロジェクトそのものが中断していたり、設計に大きな想定ミスがあったりなど多くの困難がありました。

そんな5年間の「波乱万丈なプロジェクト」の中でも、今回はなぜプロジェクトが中断したのに、再び取り組むことになったのかについてご紹介していきます。

数ある中でも、筋が良かったLED監視

まずは、なぜLED監視の自動化プロジェクトが始まったのかについてご説明いたします。

弊社では、週に一度、お客様から上がっている声や市場の動向を元に、新たな製品開発や既存製品のブラッシュアップネタを募るイノベーション会議というものを行っています。

プロジェクトが始まった2016年当時も、イノベーション会議で多くのアイデアを募っていました。参考までにLED監視以外にも当時出てきたアイデアを2点ほどご紹介します。

1つ目は、店舗に訪れた顧客数を自動でチェックするといった来店チェックサービスです。電話問い合わせの広告効果測定サービス、コールトラッカーを展開している事業で、お客様から挙がった要望をもとに検討していました。

「コールトラッカー」の詳細はこちら

2つ目は、サーバ・ネットワーク機器の故障部分をVRで可視化するサービスを検討しました。こちらのは実際に、VRゴーグルを購入し、検証まで行いましたが、実現ハードルの高さから頓挫しました。

このように弊社では、お客様の声や市場の動向を伺いながら、常にアイデアを募り、新たなビジネスになりうるか、技術的に可能なのかを日々考え続けています。
もちろん、すべてがうまいくわけではなく、先ほどご紹介したサービス案のようにネタとして生まれた多くは研究・検証の段階で精査されていき日の目を見ることなく、お蔵入りになることもあります。

そんな多くのイノベーションネタが生まれては消えていった環境の中で「LED監視」はどのようにして日の目をみたのでしょうか?

まず、イノベーション会議で多数提案されるアイデアの中、当時から筋のいいものとして「LED監視」は製品化候補に挙がっていました。というのも、2016年の頃からLEDランプの目視巡回を失くしたいというニーズは、弊社のお客様の声として一定数あったためです。

そんなLED監視ですが、確実にニーズはあるものの、製品化はむずかしいだろうなという声が当時から社内では挙がっていました。

実際に、営業部長は、LED監視と聞いた当初の感想を以下のように話していました。
「LEDの監視となると実際の監視装置(ハードウェア)から考えなければならず、我々に知見が圧倒的に足りず、また製品化に向けた技術的ハードルが高いことが目に見えていたので、正直、市場への投入は難しいだろうなと感じていました。」

また、開発担当も「製作にかかるコストに見合うだけの製品になるのだろうかと疑問に感じていた。」と話していました。

このことからも、筋のいいアイデアとして選ばれたものの、製品化にあたってのハードルが高いことが当初、課題感としてあったようです。

80㎜の壁を越えれなかったLED監視

さて、実現が難しいと感じている社員が多い中、一体サーバ・ネットワーク機器のランプをどのように監視しようとしたのでしょうか?

プロジェクト開始当初は、複数あるサーバ・ネットワーク機器のランプを、以下画像のような魚眼カメラ1台でまとめて監視を行おうとしていました。

LED監視、魚眼カメラ

しかし、調査・研究を進めていく中で、さっそく最初の壁が立ちはだかってきました。
当初は複数のランプに1つのカメラでラック1台をまるまる監視するという想定でしたが、サーバ・ネットワーク機器を収納しているラックには扉があり、扉と中のサーバ・ネットワーク機器の距離が80㎜程度しかありませんでした。その80㎜内に魚眼カメラを設置した場合、全体のLEDランプを捉えることはもちろんできず、必然的に複数のランプを監視するためには、1つのランプに1つのカメラを設置する必要がありました。

LED監視、サーバ

そのため1台のラックを監視するためにはカメラを複数台用意しなければならず、そうなるとカメラ(ハード)の費用が莫大になってしまい、費用対効果の観点からも現実的ではないという結論に至り、1度目の検討は断念することとなりました。

LED監視、2回目の挑戦へ

一度はお蔵入りになったLED監視の自動化プロジェクトですが、2019年に再度、プロジェクトに取り組むことになりました。

一体、何がきっかけでプロジェクトに取り組むことになったのでしょうか?

きっかけは、弊社が展開しているMSP事業部の運用チームと開発部長との会話が始まりでした。

運用チームは開発部長に対して、以下のように話したそうです。
『数個のLEDランプを毎日目視で監視していて、とても面倒なんです。』

この発言から、開発部長は以前、イノベーション会議で出たLED監視の自動化が失敗したことを思い出したそうです。
そこで失敗した原因を振り返ってみると、複数のランプを1つのカメラで監視しようとしていたためで、今回のケースならば数個のランプを監視するのみで良いため、効率化の一環として取り組む価値があるのではないかという仮説の元、再度、取り組んでみようとプロジェクトを開始することとなりました。つまり、プロジェクトを始めるきっかけとなったのは、社内の声だったのです。

ですが、いざ始めていく際に、いかにコストを抑えるのかがプロジェクトの中心議題でした。時間が経ち、魚眼カメラの価格や性能も上がっているものの、やはりコスト感が課題でした。どのように低コストで実現するのか、かなり頭を悩ませたそうです。

そんな制約の下、出てきたのが「カメラからカラーセンサーへ」の発想の転換でした。開発担当の男性が出したアイデアで、彼は以下のように話してくれました。

『低コストという制限がある中で、どうやって実現するのかを考えたからこそ出てきたアイデアでした。』

上記の「失敗からの再挑戦」から言えるのは、プロジェクトを進めていくにあたり、制約を設けたり時間軸を変えて再度見直すことで、新たな発想の転換ができ、イノベーションを起こすことができるということです。

さて、今回はなぜ、一度は挫折したプロジェトに再度、取り組むことになったのかについて、ご紹介致しました。

次回は、弊社がLED監視ソリューションの実現に向けてぶつかった3つの壁についてご紹介致します。

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